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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #09 復興のまちで、何を想い、何を語る?

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

ここは、東日本大震災で大きな津波が襲った宮城県気仙沼に、
昨年11月に誕生した「復興屋台村 気仙沼横丁」。
名前も知らないひと同士が、お酒を飲み、会話をして、
そして、自然と笑顔がうまれる場所です。
今回の旅は、仙台から松島、南三陸、気仙沼と三陸海岸を北上し、
最終目的地は、世界遺産・平泉。
走行距離約200km、2泊3日で宮城から岩手を目指す、「ひと」と「ひと」の笑顔をつなぐ旅。
どんなにおいしい料理やすばらしい景色よりも、忘れられない笑顔に出会える旅があります。
photo by Nobuyuki Kobayashi , realization & text by Yukiko Hirano

#09 迎えてくれるのは、あたたかい笑顔とありがとうの言葉。復興のまちで、何を想い、何を語る?

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気仙沼港からほど近い「復興屋台村 気仙沼横丁」では、毎日たくさんの笑顔が生まれています。「ひと」と「ひと」の笑顔をつなぐ旅へ。

東京から仙台まで新幹線で約2時間。仙台名物・牛タンでまずは腹ごしらえ。「牛タン 一仙」の牛タン焼きはやわらかくて厚みがあるのが特徴で絶品!

最初に訪れた松島は、京都府の天橋立、広島県の宮島とならぶ日本三景の一つ。仙台駅から車で約40分で到着です。

大小あわせて約260の島が浮かぶ松島。松島島巡り観光船企業組合の色川浩二さんの案内で、約1時間の松島湾クルーズへ出発!

出航すると、船の周りに続々集まってきたのはウミネコ。

エサを持って手を差し出すと、器用にくわえていきます。あまりの芸達者ぶりに大興奮!

ウミネコと遊んだ後は、何千年もの間に海波の浸食によって造られた美しい島々を鑑賞。こちらは、海面上より4つの穴が並んでいて、打ち寄せる波によって鐘が打つように聴こえることから「鐘島」と呼ばれています。おだやかな波とあたたかい風を感じ、身も心もリラックス。

続いて、ボランティアガイドの今野正勝さんと松島のシンボル・五大堂へ。1604年に伊達政宗が再築しました。

五大堂へと渡る透かし橋は、橋げたの間が空いていて下の海が見えるようになっています。お堂に入る前に身も心も乱れのないよう、こうした造りになっているそう。また、下が見えて怖いので、男女が手をつないで渡ることから「縁結び橋」とも言われています。

五大堂の屋根の上にはウミネコが海を見ながらひと休み。

伊達家の歴代藩主の月見御殿「観瀾亭」へ。伊達政宗が豊臣秀吉からもらい受けた伏見桃山城の茶室を、二代藩主忠宗公が原形のまま海路にて松島へ移築したもの。金箔や極彩色豊かな絵が描かれた障壁画が美しく、月の光がふすまに反射するのも計算されているとか。毎年、中秋の名月にはお月見が行われるそうです。

大津波の影響で、島の一部が崩落したり、島々を結ぶ橋が壊れるなど被害を受けた松島。しかし、「松島が守ってくれた」と言うとおり、湾内の島々が津波の勢いを弱めてくれたため、他地域よりは被害が少なかったそう。

伊達政宗の菩提寺でもある瑞巌寺(ずいがんじ)に続く参道。空を隠すほどの立派な杉並木を歩くとすがすがしい気持ちに。

「芭蕉が憧れた松島の月。満月に近い日、月明かりで金色に波が輝く様が美しいですよ」。ユーモアあふれるお話をしながら松島を案内してくれたボランティアガイドの今野正勝さん。

夕暮れでほのかにピンク色に染まった松島。今度は満月の日に訪れてみたいです。

翌朝、三陸海岸を北上して南三陸町へ。取材で訪れたのは、月に一度の「福興市」の日。ステージ上からまかれた紅白のおもちを拾う「福まき」に早速参加!「福をまいておいしく、幸せになってもらう」とのことで、地元の人、観光客、ボランティアの人が笑顔で参加しています。

「福興市」とは「市を興して幸せになる(福がくる)」という意味。「みんな買う所がなかったので、いち早く役に立ちたかった」と福興市実行委員会委員長の山内正文さん。震災翌月の4月からはじめ、毎月開催しており、現在では毎月40〜60店舗が出店しています。

南三陸ならではの新鮮な海の幸や農産物、そして全国各地からの応援ブースで大賑わい。早速あわびを食べて育つという通称「セレブだこ」を試食。味がしかっりしていておいしい!

すいとんとほたて、あさりなど山盛りの海鮮が入った「海鮮はっと」。魚介の旨みたっぷりのスープとほっこりすいとんが絶品!

「全国のみなさんのおかげです。ニコニコ上をむいて、元気な姿を見せたい」と語ってくれたのは、かまぼこ店を営む及川善祐さん。「手をあげっぱなしでおろすことはしない。100歳まで走り続けます」。

胸には手書きで「希望」と書かれたエプロンが。阪神・淡路大震災で被災した商店が集まった仮設の集合店舗「パラール」からの贈り物だそう。

今年2月に誕生した「南三陸さんさん商店街」へ。現在は、約30店舗が営業しています。

仙台市の小学校4年生の子どもたちが作った「大漁小旗」の応援メッセージが飾られています。

南三陸町の復興ダコ「ゆめ多幸鎮」にかけられた応援メッセージ。元々は「オクトパス君」という名前で、「置くとパス(オクトパス)」するという合格祈願として人気の商品でした。大津波で工場ともすべて流されましたが、現在は「ゆめ多幸鎮」として復活しました。

大漁旗は、船を新しく造った際に友人から送られるお祝いの旗。大漁旗キーホルダーは、津波で流されて今はない漁船の大漁旗を使って一つひとつ手作りしています。

東京からボランティアで来た学生が販売のお手伝い。南三陸の新鮮な海の幸を笑顔でアピール。

南三陸町の名物を作ろうと、町内の店が力を合わせて創作した海の幸たっぷりの「南三陸キラキラ丼」。津波でほとんどのお店が流されましたが、南三陸が誇るこの味を復活したいと、徐々に水揚げが再開している魚介類を使ってこの春復活!イクラやタコ、メカブなど新鮮な海の幸がおいしい!

案内してくれた南三陸町観光協会の菅原きえさん。「いまつながりをもってもらい、5年後、復興した時にもう一度来てもらえるとうれしいです」。

海が見える露天風呂が人気の南三陸ホテル観洋は、昨年7月末に営業を再開。「いまだからこそ自分の目で見て訪れて欲しいですね。私たちも忘れないように次の世代に語り継いでいきたいです。」と支配人の小野寺浩さんと渡邊陽介さん。

南三陸の国道沿いには「全世界のみなさんありがとう」の文字とともに色鮮やかな折り鶴が。

さらに三陸海岸を北上して気仙沼へ。気仙沼全体で約7割の飲食店が津波で流されましたが、その活気を取り戻そうと誕生したのが「復興屋台村 気仙沼横丁」。

入口には、気仙沼の特産品の「ホヤ」をモチーフにした気仙沼市のキャラクター「海の子 ホヤぼーや」。よく見ると剣はサンマ、ベルトはホタテと気仙沼の特産品が。

広場の中央に立てられたポールの先には、大空にまたたく旗。その高さは、付近を襲った津波と同じ高さ8メートル。あらためて、津波の大きさに驚き、言葉を失います。

観光ボランティアガイド歴7年の佐々木さん。震災前の地図を片手に、かつて賑わいを見せていた街並みのひとつ一つをお話してくれます。またその賑わいが戻る日を信じて。

古くから天然の良港と言われ、かつおの1本釣りで有名だった気仙沼港。港に停泊する船の姿も少しづつ戻ってきました。

気仙沼に誕生した仮設店舗の一つ「南町紫市場」。「明日へ進もう日本」を合言葉に、飲食店、衣料品、美容室など約50店舗が営業しています。

ハート形に「絆」や「ありがとう」のメッセージを書いたかまぼこを作る「いちまる」。店舗兼自宅が津波で大きな被害を受けましたが、かまぼこを作る機械が直り、昨年8月に営業再開。震災前は、バレンタインデー・ホワイトデー用に作っていたメッセージ入りかまぼこ。震災後、お客さんの要望で感謝の文字を書くようになったそう。「思いを込めて、手で一つひとつ文字を書いています」と尾形さん。

気仙沼市の鹿折地区に誕生した「復幸マルシェ」の会長・塩田賢一さん。「地元に残って復興を目指したい。そのためには、自分の店は自分で復興しなきゃいけない」と、復興に向けて立ち上がりました。自ら重機の免許など9種類取り工事を行うなど、その行動力は圧巻!「いろいろなイベントを行って、人が集まる場所をつくりたいです」。

佐々木さんが最後に案内してくれたのは、気仙沼湾が一望できる安波山。「遠くから見ると、美しいリアス式海岸はそのままでしょう?最後はきれいな気仙沼の眺望を見て帰ってもらいたいんです」。5月中旬から6月中旬は、ここからツツジで紅に染まった徳仙丈山を見ることができるそう。

今回案内してくれた佐々木洋一さん(右)と気仙沼市産業部観光課の村上忠大さん(左)。

「復興屋台村 気仙沼横丁」に戻り夜ごはん。看板やメニューを身ながらお店探し。おいしそうなお店が軒を連ねて、どこに入ろうか悩んでしまいます。

気仙沼ならではの海の幸のお品書きにひかれて入ったのが「男子厨房 海の家」。

震災で流れてしまった中で残った、貴重なホヤのお刺身。磯の風味が日本酒にぴったり。

ここにも笑顔を発見!

それぞれ経営していた民宿を津波で失った3人が、一緒に立ち上がってはじめた「男子厨房 海の家」。「3人揃ってなら一歩踏み出せました」と代表の畠山仁義さん(中央)。いまはユーモアあふれる接客に笑いがあふれるお店です。

小さな屋台はどのお店も個性的で活気にあふれ、はしごするのがおすすめ。「負げねえぞ気仙沼」を合言葉に、今日も復興に向かって一歩づつ進んでいます。

今回の旅もいよいよ最終日。折りしも震災があった昨年6月に世界遺産に登録された岩手県平泉へ。まずは「cafe&bar琥珀」で伝統的な秀衡椀に入った平泉産のもち入りクリームあんみつを。

世界文化遺産に登録された中尊寺へ。道の両側に樹齢300〜400年ほどの杉の並木が続く「月見坂」をゆっくり上っていきます。

平安時代後期、長い戦いの後、奥州藤原氏が平和への願いを込め、争いのない理想郷をつくりたいとして築いたのが平泉。中尊寺の金色堂は、壁や床、軒先までも金色に輝き、48体の菩薩と極楽の草花が描かれ、極楽浄土を現世に表したと言われています。そして、こちらは中尊寺の中心となる本堂。

おみくじと一緒に小槌や招き猫、おかめといった小さな金色のお守りが入った「幸福おみくじ」。

昼食は平泉名物のお餅を。東北名物のずんだ(枝豆あん)、ごま、しょうが、お雑煮など、様々な味を楽しむことができます。

最後に訪れたのは、世界文化遺産の毛越寺(もうつうじ)。大泉が池を中心とし、自然の景観を取り入れながら、仏の世界を地上に表現したと伝わるの浄土庭園へ。建物は消失してしまいましたが、800年以上経過しても計算された美しい庭園はそのまま。季節はずれの雪が降り、より美しく神秘的に映りました。

池の東北側にある遣水(やりみず)は、池に水を引き入れるために造られたもの。毎年新緑の頃、平安時代さながらの貴族衣装を身につけた歌人たちが、この遣水の水辺に座り、歌を詠む「曲水(ごくすい)の宴」が開催されます。

「浄土とは、訪れる人をほっとさせられる空間」だそう。そう言われてみると、浄土庭園に佇む仏様もなんだか微笑んでいるかのよう。時を超え、東北復興の象徴となった平泉。未来に向けて、人々の笑顔がこれからもつながっていきますように。

今回訪れた場所
  【宮城県仙台市】
牛タン 一仙
住所:仙台市青葉区一番町4-3-3 金富士ビル地下B1F
    【宮城県松島町】
松島島巡り観光船
住所:宮城県宮城郡松島町松島字町内85
    【宮城県松島町】
観瀾亭
住所:宮城県宮城郡松島町松島 国道45号線そば
 
  【宮城県南三陸町】
南三陸さんさん商店街
住所:宮城県本吉郡南三陸町志津川御前下59-1(国道398号沿い)
    【宮城県南三陸町】
南三陸復興市
住所:宮城県本吉郡南三陸町志津川字沼田56 ベイサイドアリーナ(予定)※詳細は「福興市公式サイト」を確認を
    【宮城県気仙沼市】
気仙沼横丁
住所:宮城県気仙沼市南町4-2-19
 
  【宮城県気仙沼市】
気仙沼鹿折復幸マルシェ
住所:宮城県気仙沼市中みなと町107-1
    【岩手県平泉町】
中尊寺
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
    【岩手県平泉町】
毛越寺
住所:岩手県平泉町字大沢58