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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #16 日本の原風景を訪れて。自然にかえる、自分を取り戻す旅

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

豊かな自然と歴史が今もなお息づく、奈良県南部に位置する「奥大和」と呼ばれる場所。
ここでは、自然を敬い、自然と共に暮らすことが当たり前だと教えてくれます。
ゆっくりと流れる時間に身をゆだねれば、
普段言えなかったことや忘れていた想いを思い出すかもしれません。
私たちの心の中にある日本の原風景を訪れて、自分を取り戻してみませんか。

photo by Nobuyuki Kobayashi , realization & text by Yukiko Hirano

#16 初めて訪れたのに、どこか懐かしい、日本の原風景を訪れて。
奈良県・奥大和で、自然にかえる、自分を取り戻す旅

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奈良県南部に位置する「奥大和」と呼ばれる場所。今回は、豊かな自然と歴史が今もなお息づく、十津川、天川/洞川、吉野をめぐります。

道すがら立ち寄った「大和あゆみ農園」の椎茸。肉厚で大きな椎茸がおいしそう。路上販売をしているので気軽に購入できます。

最初に向かったのは、日本では初めて「道」の世界遺産として登録された、「熊野参拝道小辺路(こへち)」が通る果無(はてなし)集落。8世帯だけの小さな集落に、果無山脈を見渡しながらのどかな風景が広がります。その美しさから「天空の郷」とも呼ばれています。

小辺路は"ひとが暮らす道"と言われるように、家を通り抜けるように古道が続いています。旅人が気軽に休めるよう、軒先を開放し出迎えてくれる家も。果無の澄んだ湧き水と一輪の花のあたたかいおもてなしにホッと一息。畑でとれた野菜を冷してふるまうこともあるそう。

取材中に見つけたのは、なんと蛇のぬけがら。全長1m以上の完全なぬけがらは珍しいとのこと。「蛇のぬけがらはご利益があるから、持って帰りな」と教えてくれたのは、果無集落に住むカツばあちゃん。地元の人とのふれあいがまた楽しい。

十津川村の玄関口にある「谷瀬の吊り橋」へ。高さ54m、長さ297.7mの日本有数の長さを誇る吊り橋は、歩くたびに揺れてスリル満点。「危険ですから一度に20人以上はわたれません」という注意書きがあり、なおさら怖さ倍増!

橋下を流れる十津川の川原で見つけた「ヘイワ」の文字。2011年の台風12号による大水害で甚大な被害を受けた十津川村。もしかすると、その被害を想って作られたのかもしれません。

ちょうど訪れたときは、吊り橋の補修作業中。GWや夏休みなど人が多く通った後は、橋げたと橋げたをつなぐ金具が緩むそうで、一つひとつ締め直すそう。この高さにも慣れた様子で作業を続ける姿はさすがです。

続いて訪れたのは、十津川村神納川地区にある農家民宿。自然豊かな農山村で生活する民家にホームステイし、田舎暮らしを体感することができます。

出迎えてくれたのは、笑顔が素敵なゆりこ姉。まるで小さい頃、自分の祖母の家に遊びに行ったかのよう。

すぐ裏の畑で栽培した紫蘇を使った手作りのジュース。紫蘇の香りとほのかな甘さ。ゆりこ姉の笑顔のようなやさしい味に、心が解きほぐされていきます。

縁側から眺める緑あふれる里山の風景。何もなくてもいい、ただただ景色を見ているだけで心が落ち着きました。

名残り惜しさを胸に秘めながら、手をふってお別れ。「また帰ってくるね」と心の中でつぶやきました。

本日の宿は上湯温泉の一軒宿「神湯荘」。大自然に囲まれた露天風呂は、春夏は新緑、秋は紅葉、冬はさざんかを楽しめるそう。源泉掛け流しの湯に浸かって、秘湯気分を味わいました。

翌朝は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参拝道」に含まれる大峯奥駈道(おくがけみち)へ。1300年も前から人々が山岳信仰の祈りを捧げてきた聖なる道で、吉野と熊野を結びます。標高1200〜1900mの道が170kmにも及ぶ、過酷な修験道でした。

標高約1,000m、霊場玉置山に鎮座する玉置神社へ。修験道10番目の行場で、重要な聖地として世界遺産に含まれており、いまでも修験者が訪れる場所です。静けさの中、結界が張られた参道を進んでいくと厳かな気持ちに。

境内には樹齢3000年といわれる「神代杉」をはじめ、杉の巨樹群が。こちらは、周囲約11m、高さ約40mの奈良県内随一といわれる「大杉」。圧倒的な自然を目の前にすると、人間の小ささを感じます。

紀元前37年に創建されたと伝えられる由緒ある玉置神社。豊かな自然に守られるようにして佇む社殿は風格があり、神々しい雰囲気が漂います。

玉置神社は、全国的にも珍しい「悪魔退散」というご神徳があります。お札を身につけていれば、災いが祓われるそう。

日本一大きい村・十津川村で最後に訪れたのは、奈良県・三重県・和歌山県にまたがる国特別名勝の大峡谷・瀞峡(どろきょう)。川舟に乗り込み、荒々しく切り立つ断崖の間を風を感じながら進んでいきます。

お弁当を持参すれば、川原に舟をつけてくれ、ピクニック・ランチも可能。大渓谷の景色を眺めながら、思わずのんびりしてしまいました。

天川村へ移動し、最初に訪れたのは「栃尾観音堂」。修験者の1人としてこの地を訪れた円空が彫ったといわれる円空仏4体があります。そのお顔はとてもやさしく、にこかやかに微笑んでいるよう。「円空仏と話して帰ると気持ちがすっきりする」と地元の方。

日本三大弁財天の一つ、「天河大辨財天社」へ。芸能の神さまで、神さまが見やすい位置に能の舞台があります。偶然山伏の方がお参りをしていて、見ている方も神聖な気持ちになりました。

世界遺産「大峯奥駈道」が通る大峯山のふもとに位置する洞川(どろかわ)温泉へ。古くから霊峰を訪れる行者をもてなしてきた各旅館には、行者がいっせいに宿に入れるよう縁側があり、現在も自由に座って休憩できるようになっています。昔ながらのたたずまいを残した旅館が立ち並ぶ温泉街は、どこか懐かしい。

創業300年を誇る「紀ノ国屋甚八」の庭園露天風呂。聴こえてくるのは、鈴虫とお湯の音だけ。弱アルカリ性のやわらかい湯が特徴で、身も心も癒されました。

お土産は、陀羅尼助(だらにすけ)をどうぞ。飛鳥時代からこの地に受け継がれてきた和漢薬の元祖として知られ、昔から家庭の常備薬や大峯山へ向かう山伏が用いていたそう。

いまもなお、女人禁制が守られている大峯山。約1300年前、厳しい修行を行う役行者(えんのぎょうじゃ)という山岳修験者が、自分の身を心配して追いかけてきた母が後を追わないよう、女人禁制にしたのがはじまり。「女人結界」と書かれた門の先は、少し薄暗く美しい木漏れ日が神聖な雰囲気。

その役行者が、母も安心して留まってくれるようにと洞川の人たちに頼んで建ててもらった庵が「母公堂」。現在では、安産祈祷所としても知られています。

吉野へ向かう道中で訪れたのは「徳田銘木」。自然のままを活かしたいという気持ちから、一般では流通しないような曲がった木を「自然木」と銘打って販売しています。曲がった木や枝付きの木など、一つひとつの商品にそれぞれ個性があり、二つと同じものはありません。

実際に自然木を使用した例を見せながら、説明をしてくれる徳田社長。「いつでも気軽に見学に来てください」

吉野に到着し、「豆富茶屋 林」で昼食。吉野の水を使って手作りしている豆腐はまろやかで美味。吉野のやわらかい水質が豆腐になめらかさを与えているそう。まずはゆず塩、抹茶塩でいただいて。

吉野のまちで見つけたほら貝のお店へ。ほら貝は修行をしている山伏が身につけるもの。ここが修験僧が集まるまちだということを、教えてくれます。

職人による手作りされた立派なほら貝に思わず見とれてしまいます。ほら貝の独特な音色がいまにも聞こえてきそう。

旅の最後は、世界遺産である金峯山寺へ。修験道の開祖、役行者が大峯山で感得した蔵王権現(ざおうごんげん)を自ら山桜に刻んで祀ったのが起源のこと。高さ約34m、檜皮葺き(ひわだぶき)の蔵王堂は、東大寺大仏殿に次ぐ木造の大建築。その堂々たる姿は、修験道の総本山にふさわしい構え。

堂内に入りまず驚くのは、杉や桧、梨、つつじなど様々な木を使用した68本の柱。自然木を素材のまま使用しており、まるで森そのもの。思わず祈らずにはいられない、そんな気持ちになりました。

ヒノキ材で造られた木造の蔵王権現立像。両目を見開いた憤怒の形相は迫るものがあり、厳しく諭されているかのよう。人間は自然とともにあることを教えられた、今回の旅。自分の心が少し軽くなったような気がしました。

今回訪れた場所
  【奈良県下市町】
大和あゆみ農園
住所:奈良県吉野郡下市町平原91-3
    【奈良県十津川村】
谷瀬の吊り橋
住所:奈良県吉野郡十津川村
    【奈良県十津川村】
玉置神社
住所:奈良県吉野郡十津川村玉置川1
 
  【奈良県十津川村】
瀞峡(どろきょう)川舟観光かわせみ
住所:奈良県吉野郡十津川村玉置川451-3
    【奈良県天川村】
栃尾観音堂
住所:奈良県吉野郡天川村川合263-1
    【奈良県天川村】
天河大辨財天社
住所:奈良県吉野郡天川村坪内107
 
  【奈良県黒滝村】
徳田銘木
住所:奈良県吉野郡黒滝村御吉野12
    【奈良県吉野町】
豆富茶屋 林
住所:吉野郡吉野町吉野山551
    【奈良県吉野町】
金峯山寺
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山2498