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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #22 深い歴史に抱かれた街で、新旧の文化を訪ねる時間旅行

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

祈りを捧げる人は、男女隔て無く救済するという善光寺の如来様。
そのおおらかな御心(みこころ)に抱かれた善光寺門前通りでは、
古き文化が守られる一方で、新しい文化も芽吹いています。
そんな新旧の文化が織りなす時間旅行へ、ぶらり出かけてみませんか。

photo by Nobuyuki Kobayashi , realization & text by Rika Hiro

#22 約千四百年の歴史を誇る、善光寺の深い懐に抱かれた街。 そこで育まれる、古き文化と、新しき文化を訪ねる旅へ

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年間約600万人が参拝するという、歴史の深い長野県長野市の善光寺。その懐に抱かれた門前通りをめぐる、新旧の文化に触れる旅へ。

東京から新幹線とバスで約2時間。長野県長野市の善光寺に到着。国の重要文化財にも指定される「山門」前で出迎えてくれたのは、六地蔵と、その奥に佇む濡れ仏。その頭上には溶けはじめの雪がわずかに残っています。

「牛に引かれて善光寺参り」の説話にちなんだ、牛の銅像を発見!お話の中では、観音さまの化身として登場するありがたい牛です。

山門を超えると、晴れ渡る青空に映える善光寺の本堂が。その堂々たる姿に圧倒されます。

冷たく凛とした空気に満ちた内々陣で、善光寺のご本尊に祈りを捧げます。インドのお姫さまを、重い病から救ったという如来様が祀られている善光寺は、女人救済の寺院としても知られています。その深い慈悲の心に触れ、身体の汚れが清められたようでした。

真暗な回廊を進む「お戒壇めぐり」で、善光寺の如来様との縁を結んだところで、本堂を後に。仁王門を越えると、善光寺ご本尊の懐に抱かれた門前通りの始まりです。

善光寺門前通り散策で最初に訪れたのは、長野土産の定番“七味唐からし”で知られる「八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)」。江戸中期から続く老舗で、善光寺の歴史資料にもその名が出てくるという歴史ある名店です。

こちらは人気商品の「七味マカロン」。七味唐からしの“七味素材(唐辛子、麻種、紫蘇、生姜、山椒、胡麻、柚子)”の風味が楽しめる、甘くてスパイシーな新触感スイーツ。

七味唐からしの魅力を、より多くの人に色々な形で伝えたいという想いから、新しい挑戦を続けている八幡屋礒五郎のみなさん。その眼差しは、過去の歴史ばかりでなく、今後の未来をも見据えていました。

お昼に訪れたのは、信州の食材を活かした創作郷土料理がいただける「門前茶寮・弥生座(やよいざ)」。信州牛と四季折々の10種の野菜が楽しめる「山のせいろ蒸し」は、ヘルシーなのにボリューム満点!「量でもてなすのが長野流」と語ってくれた奥様ですが、もちろんお味も絶品でした。

次に訪れたのは、織り物とカフェが融合した新しい空間「オリカフェ」。

古い食堂を改装したというレトロな店内の壁には、カラフルな織り糸がぎっしり。体験織りコースを申し込めば、好きな糸を選んで自分だけの布を織ることが出来ます。糸の組み合わせも自由なので、どれにしようか迷ってしまいます。

糸が決まったら、織り機の右上にある巻きとり機で、ボビンに糸を巻いていきます。ある程度の量になったら、“舟形シャトル”と呼ばれる木製の道具にボビンをセットし、織り物開始!織り機にはあらかじめ縦糸が張ってあるので、横糸を引いてパタパタすれば簡単に布が織れてしまいます。

ここでは、“キレイに織る”のではなく“自由に織る”手法「さをり織り」が定番。従来の織り物は、縦糸が一本抜けてしまっただけで傷モノになってしまいましたが、「完璧な布は機械でも織れる、自分にしかない感性をぶつけた織り方をしよう」というのがさをり織りのモットー。

少し手を休めて、隣のカフェスペースで休憩タイム。周囲にはさをり織りの創始者である「城みさを」さんの作品が展示されており、そのパワフルな織り方にインスピレーションを受ければ、後半は更なる自分らしさが表現出来そう。

織り始めてから約2時間後。壁にたて掛ければタペストリーにもなる、オシャレなストールが完成!繊維工場で廃棄されてしまう“残糸”をところどころ織り込んだのが良いアクセントに。善光寺参りの後に、こんなにモダンな手土産が出来るとは予想外でした。

翌朝、晴れやかな善光寺の仲見世通りを散歩しながら、門前通りの素敵スポットをめぐる旅の2日目がスタート。

この日最初に訪れたのは、囲炉裏で焼く本格的なおやきづくりを体験出来る「小川の庄 大門店」。水田が少なく、お米がとれなかった信州の北部では、小麦粉と野菜でお腹いっぱいになれるおやきが家庭の非常食として親しまれ、代表的な郷土料理となったそう。

長野市から約20キロメートルほどの「小川村」という場所が、「小川の庄」発祥の地。ここ大門店では、本店の雰囲気と味をそのままに楽しむことが出来ます。おやきは潰れているより丸い方がおいしそうに見えることから、昔はおやきを上手に丸くつくる娘ほど、良い花嫁だとされていたのだそう。

丸くつくることを念頭に置いて、さっそくおやきづくりスタート。地元産の野沢菜をたっぷり生地に乗せ、具がはみ出ないように包み込むがなかなか至難の業。つなぎ目が分からないようにキレイに指でならすのも、おいしそうに見せるコツ。

蒸したり焼いたり、おやきの調理方法は色々ありますが、小川の庄のこだわりは囲炉裏でじっくり時間をかけて焼くこと。途中蒸して、仕上げだけ焼くという時短業より、皮が香ばしく焼けておいしいのだそう。

焼き上げること約20分。出来たてのおやきが完成!中を割ると、ぎっしりと詰まった野沢菜から湯気が立ち上り、いい香りが広がります。もう1つつくった小豆のおやきもいただいて、もう満腹。昔の人の知恵がつまった、心あたたまる味でした。

お腹も満たされ、再び門前通りを散策していると、通り沿いの商店のショウウィンドウに小さな展示スペースを発見しました。

門前通り沿いにあるいくつかの商店には、「まちかどミニ博物館」という、各商店が保有する歴史的資料や道具を展示するスペースが設けられているのだそう。ここは消防博物館。

こちらは明治3年創業の「蔦友」が展開する文具博物館。タイムレコーダーやレジスターなど、時代の移り変わりと共に便利になっていった商品を展示しています。

こちらは老舗「柏与紙店」が展開する和紙博物館。昔、周辺の商家で実際に使用されていた“大福帳(帳簿)”などが展示されています。通りの歴史に触れながらぶらり歩きをしていると、まるでタイムトラベルしているような、楽しい気持ちになれます。

少し歩き疲れたら、中心の通りをそれた地下にそっと佇む「日和(ひより)カフェ」へ。暖色の光に照らされる店内の壁には、絵本、雑誌、小説など、幅広いジャンルを取り揃えた大型の本棚が。よく見ると、店員さんの手作りアクセサリーまでところどころに展示・販売されています。

オーダーしたのは、店員さんおすすめの「ミックスベリーみるくティー(左)」と「赤いクリームソーダ(右)」。女子のときめきを誘うかわいい見た目に癒されつつ、のんびり休息タイム。ドリンク以外にも、“おいしい信州ふーど”という信州の豊かな風土から生まれた食材を使用した季節メニューなども充実。

店内には、カフェの運営会社である“まちなみカントリープレス”が発行するフリーペーパー「日和」のコーナーも。県内の頑張っている若者にフォーカスし、“長野県の暮らしをおもしろく”をコンセプトとした月刊誌。地元への愛情と、新しい取り組みに満ちた日和カフェを訪れると、自ずとこちらも前向きな気持ちになれました。

この旅の最後に訪れたのは、北信州のおいしいワインとジャムのお店「サンクゼールワイナリー門前店」。長野県北部の飯綱町にある自社ワイナリーやジャム工場でつくられた、おいしくて身体にやさしいお土産が豊富に揃っています。

地元のふじりんごを使用したシードルワインは、その香りが格別。そば粉を使用したパスタ「そばパスタ」と一緒にいただくのが店長さんのおすすめ。というのも、シードルワインの世界的名醸地であるノルマンディでは、そば粉のガレットとシードルワインのセットが定番だそうで、元々そば粉との相性は抜群なワインなのだそう。

ジャムの試食コーナーでは、お砂糖を使わず、季節の地元食材のそのままのおいしさを閉じ込めた「旬ジャム」の試食も可能。2月の中旬頃からは、“いちごミルク”や“抹茶ミルク”などの「春ジャム」が発売されるそうで、春の善光寺参りのお土産に最適。

ジャムの甘くてやさしい香りに、ほっと幸せな気持ちに。この門前通りに芽吹く新旧色とりどりの文化を育んだのは、善光寺の如来様のようにおおらかで、懐の深い、この土地の風土や人々なのだと分かりました。

今回訪れた場所
  【長野市元善町】
善光寺
住所:長野県長野市大字長野元善町491
    【長野市大門町】
八幡屋礒五郎
住所:長野県長野市大門町83
    【長野市大門町】
門前茶寮・弥生座
住所:長野県長野市大門町503
 
  【長野市諏訪町】
オリカフェ
住所:長野県長野市諏訪町1644-3
    【長野市大門町】
小川の庄 大門店
住所:長野県長野市大門町56-1
    【長野市中央通り】
まちかどミニ博物館
住所:長野県長野市中央通り
 
  【長野市東町】
日和カフェ
住所:長野県長野市東町131
    【長野市大門町】
サンクゼールワイナリー門前店
住所:長野県長野市大門町84