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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #25 日本の「美」を訪ねに、春色に染まる城下町へ。

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

アンティーク着物に身を包み、流し舟からゆっくりと眺める草木。
春色の海の幸で彩られたお造りに、美しい上絵の器で頂くお茶。
色々な形で日本の美学に触れることができる街、加賀で、
あなたもやわらかな「春のひととき」を満喫しませんか。

photo by Nobuyuki Kobayashi , realization & text by Rika Hiro

#25 加賀百万石で知られる城下町に訪れた、心華やぐ季節。 今、日本の「美」の本質に触れる旅へ、出かけませんか。

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アンティーク着物に身を包み、流し舟からゆっくりと眺める草木。春色の海の幸で彩られたお造りに、美しい上絵の器でいただくお茶。色々な形で日本の美学に触れることができる街、加賀で、あなたもやわらかな「春のひととき」を満喫しませんか。

東京から飛行機と車で約1時間半。訪れたのは、石川県加賀市の田尻町。毎日新鮮な魚介が水揚げされる、海沿いの港町です。

橋立漁港を目前に佇む「割烹 舟重(ふなしげ)」は、地元の人が確かな味を保証する隠れた名店。子持ち海老、鯛、毛蟹など、透き通った桃色が春らしい新鮮なネタが並びます。弾力があり、ほんのり甘い味わいはとにかく絶品。

店先の橋立漁港で水揚げされたその日一番のネタを、ほぼ全て仕入れてしまうという舟重のご主人。「とにかく美味いから食べてくれ」と、多くを語らないご主人に、生粋の海の男を感じました。

橋立漁港から車で約30分。訪れたのは、「奥の細道」の旅で芭蕉が最も長居したことで知られる、山中温泉。ゆるキャラの「おわんさん」が出迎えてくれました。

山中温泉街中心の共同浴場「菊の湯」の隣に、足湯を発見。山中節が聴ける「山中座」の立派な佇まいを眺めながら、さらっと心地いいお湯で旅の疲れを癒します。中心には飲泉場も。

次に訪れたのは、450年の伝統を持つ「山中漆器」の新しいブランドとして、モダンな「暮らしの道具」を発信し続ける「畑漆器店」。出迎えてくれたのは、塗職人であった祖父の代を継ぎ、3代目となる畑 学さん。

こちらは、ブランド「卯之松堂」の漆器。木が育った方向に沿って木取りする「縦木取り」という山中漆器伝統の技術が用いられ、丈夫で変形しにくいのが特徴。シンプルで飽きの来ない、長く人々の暮らしに寄り添うデザインを心がけているそう。

こちらは、ブランド「col.」の器。伝統技術を用いながらも、枠にとらわれない自由な色使い、形状の器が並びます。漆(うるし)ではなくウレタンを使用することで、モダンで鮮やかなカラーが表現できるのだそう。伝統を守るだけでなく、発展させ、「より多くの人に山中漆器の魅力を伝えたい」と語る畑さんに、真の職人魂を感じました。

この日の昼食に訪れたのは、山中温泉 ゆげ街道の中程に店を構える、「こんぱ亭・橋爪庵(こんぱてい・はしづめあん)」。生米から1人前ずつ、手作りで炊き上げる「釜飯」が絶品のお店です。

釜飯が炊き上がるまでの間、お客さんが退屈しないようにと、抹茶と小豆落雁(あずきらくがん)のサービスが。小さな心遣いに自然と笑みがこぼれます。

20分余りで、炊きたての釜飯と立派な生わさびが食卓に。この日注文したのは「ホタテの釜飯」。ふわっと溶き卵でとじられたご飯をかき混ぜると、醤油の香ばしい香りが食欲をそそるお焦げが登場。そこに、生わさびを添えていただきます。残ったご飯はおむすびにしてくれるなど、おもてなしの心が散りばめられた釜飯屋さんでした。

日も暮れ、この日宿泊する山中温泉の宿「お花見久兵衛」に到着。エントランスの提灯が宿泊客をあたたかく照らしてくれます。

ほんの短い間でも、愉しいひと時をもたらす「桜」のような宿でありたいというコンセプトから、館内には桜のモチーフが散りばめられています。

チェックイン時に振舞われる「久兵衛団子と桜湯」。どちらも、時期に関わらず通年で楽しめるそう。その場で手焼きしてくれる久兵衛団子こと、みたらし団子は、おもてなしの心が現れたやさしい味です。

夕食にいただいた「じわもん膳」は、石川県で地元の食材を意味する「じわもん」にこだわった創作会席。石川の代表的な郷土料理である「鴨の治部焼き」をアレンジした、「牛の治部焼き風」など、郷土の味覚と共に新しい味覚も楽しめます。加賀ならではの新鮮な海の幸も満載です。

翌朝、渓流沿いにあるお花見久兵衛の貸切露天風呂へ。春のやわらかい光と緑の中で、山中温泉のお湯を満喫。全国の温泉の中でも“水素”を多く含む山中温泉は、病の元となる活性酸素を取り除く作用があるとのこと。朝湯で心がすっかり和らいだところで、お花見久兵衛を後に。

この日の最初に訪れたのは、山中温泉限定のスイーツを楽しめる「サロン・ド・テ 西洋菓子倶楽部 高乃倉」。店頭には、観光客が自由に使用できる“番傘”が置かれています。「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど雨の多い山中の地で、お客さまが濡れてしまわないようにという気遣いが込められています。

そんな番傘を象ったミルク饅頭、その名も「番傘」は、高乃倉を代表する人気商品。雨の日をも美しく楽しめる番傘のように、人々の生活を彩りたいという願いが込められたお菓子。「加賀温泉郷おやつきっぷ」でも購入できます。

次に訪れたのは、“野菜ソムリエ”の資格を持つ女将さんが営む八百屋「加賀野菜・地物野菜 なかまさ」。ブランド野菜として名の知れた“加賀野菜”はもちろんのこと、加賀ならではの珍しい野菜、季節の野菜を、リーズナブルな値段で取り揃えています。

なかまさでは、野菜の販売だけでなく、女将特製の「野菜ジュースバー」が人気。「野菜の販売だけならスーパーと同じ。野菜の食べ方や効能をお客さんに伝えられて初めて、八百屋としての価値が生まれる」と語ってくれた女将さん。月に2度、近隣の奥さまに向けて開催している“野菜塾”も大好評とのこと。

左側の「美女ジュース(400円)」は、髪や肌を美しくする“β-カロテン”を多く含む人参入り。右側の「女子力UPジュース(500円)」は、美白効果やしみ・そばかす予防になる“ビタミンC,E”を含むキウイなどのフルーツ入り。ユーモア溢れるネーミングにも、女将さんの楽しい人柄が現れていて、飲むと心も体も元気になれるとっておきのジュースです。

あたたかいおもてなしの心に溢れた山中温泉を後にし、次に向かったのは加賀市大聖寺地方。最初に訪れた「茶房古九谷(さぼうこくたに)」は、「石川県九谷焼美術館」の2階に併設された茶房。加賀の伝統工芸品である“九谷焼(くたにやき)”のギャラリーと、その九谷焼を使用した器でお茶とお菓子が楽しめます。

北陸新幹線開通の2015年、日本への伝来から360年の節目を迎える、日本最古の磁器「九谷焼」。磁器を焼く人、上絵を付ける人を完全に分業する技法によって生まれる鮮やかな模様は、「例えるならば、真っ白なキャンバスに描かれた絵画のよう」と、副館長さんは語ってくれました。

そんな趣ある九谷焼の器でいただくのは、保存料や防腐剤を使用せず、素材の風味を生かしたこだわりの上生菓子と、季節を取り入れた香り豊かなお茶。おいしい新茶が摘まれるこれからの季節、都会のカフェにはない特別な味わいを楽しむことが出来る「茶房古九谷」に訪れてみませんか。

次に訪れたのは、アンティーク着物の販売、レンタルをしている「アトリエ理」。古い武家屋敷の趣ある玄関をくぐると、さっそく着物の先生がお出迎え。

着付けをしながら、日本ならではの和の“美意識”を、若い人にも忘れないで欲しいと語ってくれた先生。その身のこなしは正に和風美人の鏡。艶やかな着物を身にまとうと、自然と身も心も凛と引き締まるようでした。

西洋文化の影響を受けた大正ロマン時代、普段着として着られていたというアンティーク着物は、その大胆な色使いや構成が今の若い世代から支持されています。着物は少し季節を先取りした柄を着るのがお洒落だそうで、これからの季節は牡丹や竹などの柄がおすすめとのこと。

普段自分では選ばないような、大胆な赤い着物をまとって気持ちも高揚したところで、アトリエ理を後に。大聖寺の古い町並みをそぞろ歩きしながら、隣を流れる大聖寺川の流し舟乗り場へと向かいます。

岸で出迎えてくれたのは、「城下町大聖寺川流し舟」の船頭さん。大聖寺川の川沿いは桜の名所として知られ、その美しい景観を訪ねに春には多くの観光客が訪れます。中でも、ゆっくりと舟から眺める花見は格別で、殿様専用の船着場だった「長流亭(ちょうりゅうてい)」などの、歴史的建造物も楽しむことができます。

桜以外にも、アヤメ、チューリップ、アジサイ、薔薇などの花が咲き誇り、夏には新緑、秋には紅葉と、うつろう季節の景観が楽しめる大聖寺川。華やかな着物をまとい、穏やかな川のせせらぎに耳を傾けるひと時は、日常の忙しさを忘れさせてくれました。

大聖寺川流し舟を後にし、東京への旅の土産を探して、着物で街をそぞろ歩き。歩幅を狭くゆっくりと歩くせいか、普段より街の色々な景観に気づくことができます。

この旅の最後に訪れたのは、地元の人に愛される手作りの和菓子屋「梅田菓子舗」。店頭に貼られているのは、季節やイベントごとの新メニューを紹介する手書きのチラシ。

毎日その日の朝に仕込むという、つきたてのお餅を使用した春の和菓子。左から、道明寺桜餅、草団子、もも色つぶあん餅、いちご大福と、どれも手作りのあたたかみに溢れています。

孫の手を引いたおじいさんや、若いご夫婦など、地元のお客さんが絶えない梅田菓子舗。多くの人を惹きつけるその魅力は、手作りの和菓子のようにあたたかい、お店の皆さんの人柄なのかもしれません。加賀の街に息づく「美しさ」は、工芸品や桜だけではなく、この土地に暮らす人々の真心だと分かりました。

今回訪れた場所
  【加賀市田尻町】
割烹 舟重
住所:石川県加賀市田尻町浜山2-17
    【加賀市南町ニ】
こんぱ亭 橋爪庵
住所:石川県加賀市南町ニ15-1
    【加賀市山中温泉】
山中温泉 お花見久兵衛
住所:石川県加賀市山中温泉下谷町ニ-138の1
 
  【加賀市山中温泉】
西洋菓子倶楽部 高乃倉
住所:石川県加賀市山中温泉湯の出町レ23
    【加賀市山中温泉】
加賀野菜・地物野菜 なかまさ
住所:石川県加賀市山中温泉南町ロ-76-3
    【加賀市大聖寺】
茶房古九谷
住所:石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
 
  【加賀市大聖寺】
アトリエ理
住所:石川県加賀市大聖寺新町1番地
    【加賀市大聖寺】
城下町大聖寺川流し舟
住所:石川県加賀市大聖寺八間道87
    【加賀市大聖寺】
梅田菓子舗
住所:石川県加賀市大聖寺荒町16