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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #30 日本の夏夜を味わう、大人の休息旅へ

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

趣ある古い町並みが残る岐阜県。日が暮れ、夜の闇に包まれた町に出れば、
辺りに響くのはそばを流れる清流の音だけ。その静けさに心を休めながら、
ゆっくりと更ける夏夜を味わう旅へ、ぶらり出かけてみませんか。

photo by Takaaki Koshiba , realization & text by Rika Hiro

#30 涼やかな清流の音が響く、夜の古い町並み散歩。 静かな日本の夏夜を味わう、大人の休息旅へ

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趣ある古い町並みが残る岐阜県。日が暮れ、夜の闇に包まれた町に出れば、辺りに響くのはそばを流れる清流の音だけ。その静けさに心を休めながら、ゆっくりと更ける夏夜を味わう旅へ、ぶらり出かけてみませんか。

東京から約4時間半。この旅の最初に訪れたのは、懐かしい昔ながらの町並みが残る、岐阜県飛騨古川。

大の酒好きの古川人が愛す、「蒲(かば)酒造場」の蔵にお邪魔しました。今も純米酒を仕込んでいるという巨大な杉の木桶が、その長い歴史を物語っています。

平成24年 全国新酒鑑評会で入賞した「白真弓(しらまゆみ)」をはじめ、飛騨の綺麗な山水と、地元米にこだわった名酒が揃います。冷酒として氷で薄めてもおいしい、夏向けの日本酒もお土産におすすめ。

次に、15分ほど電車に揺られて訪れたのは、岐阜県高山市。夏の暑い日差しの中、のどごしの涼しい昼食を求めて立ち寄ったのは、究極の蕎麦・うどんを味わえる「つるつる亭」。

この日は、天ざる蕎麦(天婦羅3品付)を注文。最初は蕎麦の上に盛られた“お塩”だけで蕎麦の香りを味わいます。次に、ご主人が卓上ですりおろしてくれる“わさび”を少しと、“秘伝のつゆ”を皿に流し込み、最後は蕎麦の下に隠れている大根おろしならぬ“カブおろし”を混ぜていただきます。わさびのつんとした辛さとカブの甘味が絶妙な、究極の蕎麦との出会いに感動。

セットの山菜の天婦羅は、今朝採取したばかりの新鮮な「ゆり根」「ウド」「マタタビの若葉」。山菜の素材そのものの味わいと、からっと軽い衣の食感にうっとり舌つづみ。こちらも、お塩で食べて美味、つゆに付けても美味の絶品。

お店の料理に対する情熱はもちろん、私生活でもテレビは見ないなど、こだわりが強いというご主人。それを「大変なんです」と言いながらも、ご主人を尊敬し、支えている息子さん。そんな仲睦まじい家族が生み出す究極の一品を、高山に訪れた際にはぜひ味わってみてください。

高山市の伝統的建造物群保存地区に指定される古い町並みをぶらり散策。土産物屋を覗いたり、食べ飲み歩きをしながら、夕暮れの光に染まる情緒溢れる通りを楽しみます。

この日宿泊する「飛騨高山温泉 高山グリーンホテル」に早めにチェックインし、飛騨牛の部位ごとの味くらべや、鮎の炭火焼が楽しめる贅沢な地もの会席を堪能。茶道の流派の一つである“宗和流”が根付く高山では、“海腹川背”といって、川魚は背中を手前に置くのが流儀だそう。そんな小さな地元話に、旅の醍醐味を実感。

お腹は満たされた一方、まだ寝付くには早いので、夜の高山の町歩きに出発。昼の賑やかな雰囲気と一変し、闇の中で街灯がぼんやりと光るだけの町並みは、深い静けさに満ちています。昼間には気づかなかった、川のせせらぎ音も聞こえてきます。

川の清流音に引き寄せられるように歩いていくと、宮川に架かる赤い橋に到着。ライトアップされた新緑と、橋の赤色のコントラストが幻想的。夏夜に打ち上がる花火を思わせるような鮮やかさです。

しばらく歩いていくと、ビルの1階奥に隠れ家風のバー「KAMA・G(カマジイ)」を発見。二重ドアを開けて中に入れば、1枚板のカウンター越しの棚に200種類以上のお酒が並ぶ、オーセンティック(伝統的)バーの落ち着いた空間が広がります。

窓や時計がなく、外と遮断された寛ぎの空間で、ゆっくりとカクテルを楽しみます。「ショットバーでは、男性はダンディーに、女性はエレガントに振舞うべき」と語るマスターは、お酒の飲み方、葉巻の吸い方など、大人の楽しみ方のいろはを気さくに教えてくれます。

底の丸いワイングラスに赤ワインを注いだマスターに、「机に手を置き、グラスの持ち手を指で挟んでごらん」と促され、その通りにすると、指のつけ根に丸く赤い光が指しました。それはまるでルビーの指輪のようで、キザな演出に大感激。そんな大人の粋な遊び方を教えてくれる、素敵なバーでした。

すっかり夜も更けた頃、飛騨高山温泉 高山グリーンホテルに戻り、部屋でお酒の酔いをさまします。火照りが落ち着いてきたところで、「貸切風呂・岩」で飛騨高山温泉を満喫。今日1日の出来事をぼんやり振り返りながら、美肌の湯で疲れを癒します。

翌朝訪れたのは、地元農家自家製の野菜、果物、植物が並ぶ「陣屋前朝市(じんやまえあさいち)」。江戸時代から続くという古い朝市は、朝から外国人も含む観光客で賑わっていました。

生産直売の安心の小ナスは、夏の今がおいしい旬の時期。漬物にすると美味だそうです。

飛騨の方言であたたかく迎えてくれる、農家のお母さんとのやり取りも朝市の魅力の1つ。東京から出てきたという私たちに、両手いっぱいのお土産を持たせてくれました。

高山を後にし、電車に約2時間ほど揺られて訪れたのは、岐阜市内にある川原町。ここにも、古い建物が並ぶ懐かしい町並みが残っています。

川原町の入口にある「住井冨次郎商店」は、職人であるご主人が手作業でつくる“水うちわ”が人気のお店。非常に薄い和紙の両面にニスが塗られ、透けた模様が涼しげな水うちわは、この季節に持ち歩きたい見た目にも涼しい一品です。

「住井冨次郎商店」から歩いてすぐの場所に、老舗和菓子店「玉井屋(たまいや)」があります。明治41年の創業当時から愛され続けている「登り鮎」は、そばを流れる長良川名産の“鮎”をモチーフにした玉井屋を代表するお菓子。求肥(ぎゅうひ)をカステラ生地で包んだ上品な甘さと、生地に描かれたやさしい鮎の顔が印象に残る名菓子です。

この日、川原町での宿泊に選んだのは「長良川温泉 十八楼」。下駄、帯が付いた色浴衣のセットを貸出してくれます。洗練された柄・色合いの浴衣が豊富に揃い、川原町散策や、長良川の鵜飼を浴衣で観光するのもおすすめ。

色浴衣に袖を通し、気分も華やかになったところで、この日のメインイベント「長良川鵜飼」へ出かけます。夕暮れに染まる美しい長良川を、船頭に誘われていくつもの屋形船が進んで行きます。

闇を照らす“かがり火”を頼りに、鵜匠(うしょう)と呼ばれる操り手によって、10〜12羽の鵜が鮎をとる伝統漁法が披露されます。日本で唯一皇室御用とされるのが、この長良川の鵜飼です。人々が屋形船の上でお酒と宴と鵜飼とを楽しみながら、この幻想的な日本の夏夜が更けていきました。

昔の日本にタイムトラベルしたかのような夜が明け、辺りが明るくなった頃。朝風呂を浴びに、宿泊した長良川温泉 十八楼の「蔵の湯」へ。明治時代の柱やはりを残した趣ある蔵の中で、良質な鉄分を多く含む長良川温泉のにごり湯を堪能。贅沢な寛ぎの時間を過ごせます。

宿を後にし、この日最初に訪れたのは、山下鵜匠が営む喫茶店「鵜の庵(いおり)鵜」。店の中庭に飼われた鵜を間近に見ることができる、ユニークな喫茶店です。

昨晩の鵜飼でも活躍した現役の鵜匠、山下さん。鵜を通して自然と共に生きることを学んだという山下鵜匠は、74年間1度も大きな病にかかったことが無いのだそう。「自然に生かされている」「鵜から学ぶことの多い人生で、鵜は自分の兄のような存在だ」と語る山下鵜匠。その高貴な人生観に触れられるのも、この喫茶店の魅力の1つです。

店内からは、中庭越しに、金華山とその上に佇む岐阜城を眺めることもできます。現在まで守られてきた“鵜飼”という伝統文化の魅力に触れられ、もちろん鵜飼でとれた新鮮な鮎の料理も味わえる「鵜の庵 鵜」に、1度足を運んでみて下さい。

この旅の最後に訪れたのは、岐阜城がそびえる山頂へと続く「金華山ロープウェー」。長良川を中心とするのどかな町並みを見下ろしながら、約3分間の天空の旅へ。

山頂駅に到着してすぐ、日本で初めて誕生したというリス園「ぎふ金華山 リス村」を発見。金華山の自然にはリスの餌となる“シイの実”や“ドングリ”が豊富にあるため、大変暮らしやすい環境なのだそう。子どもたちにおやつをたくさんもらって満腹のリスは、気持ちよさそうにお昼寝していました。

リス村から更に上へ登ると、岐阜市内をぐるりと見渡せる展望レストランがあります。夏季は夜間営業もしており、岐阜市全体を見渡せるパノラマ夜景は絶景とのこと。長良川を中心とする穏やかな町並みを眺めながら、岐阜の人々が守り続ける懐かしい景色、文化を、また訪ねたいと思いました。

今回訪れた場所
  【古川町】
蒲酒造場
住所:岐阜県飛騨市古川町壱之町6-6
    【花岡町】
つるつる亭
住所:岐阜県高山市花岡町3-99-11
    【花岡町】
KAMA・G
住所:岐阜県高山市花里町3-8 カマタニビル 1F
 
  【西之一色町】
飛騨高山温泉 高山グリーンホテル
住所:岐阜県高山市西之一色町2-180
    【八軒町】
陣屋前朝市
住所:岐阜県高山市八軒町1-5
    【岐阜市】
川原町
住所:岐阜県岐阜市湊町・玉井町・元浜町
 
  【湊町】
長良川鵜飼
住所:岐阜県岐阜市長良川河畔
    【長良中】
鵜の庵 鵜(鵜飼の里)
住所:岐阜県岐阜市長良中鵜飼94-10
    【千畳敷下】
金華山ロープウェー
住所:岐阜県岐阜市千畳敷下257