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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #36 支え続けてくれる人と、記念日の聖地「倉敷」へ。

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

美しい白壁が続く人混みとは無縁の倉敷の町は、穏やかな時が流れる“記念日の聖地”
昼間から地酒で乾杯して、眩い夜景を眺めて、おいしい瀬戸内海の海鮮料理に舌鼓。
そんな旅の思い出と共に、普段伝えそびれている気持ちを“倉敷記念日レター”に綴り、
未来の相手へ。一年後、この旅で感じた暖かなぬくもりに、二人が包まれるように。

photo by Nobuyuki Kobayashi , realization & text by Rika Hiro

#36 忙しさの中で、無理をしたり、無理をさせたりの毎日。それでも支えてくれる人と、記念日の聖地「倉敷」へ。

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美しい白壁が続く、人混みとは無縁の倉敷の町は、穏やかな時が流れる“記念日の聖地”。 昼間から地酒で乾杯して、まばゆい夜景を眺めて、おいしい瀬戸内海の海鮮料理に舌鼓。 そんな旅の思い出と共に、普段伝えそびれている気持ちを“倉敷記念日レター”につづり、 未来の相手へ。一年後、この旅で感じたあたたかなぬくもりに、再び二人が包まれるように。

結婚20年目の記念日。東京から約2時間かけて訪れたのは、岡山県倉敷市。天領の時代、物流の中心として栄えた趣ある町で、何年ぶりかの夫婦二人旅が始まります。

最初に訪れたのは、岡山県産の米の原料にこだわった老舗酒屋、「十八盛(じゅうはちざかり)酒造」。日本酒が出来るまでを詳しく学べる、酒蔵見学ツアーを体験。お酒好きの二人は興味深々。

酒蔵見学ツアーの後は、名酒の試飲タイム。香り高い吟醸酒「ことのわ」に魅了された妻は、普段よりも更に口数が多くなり、それを静かに眺める夫は満足げ。

酒蔵見学プランには、500ml瓶にオリジナルのラベルを貼り、世界に一つだけの「記念酒ボトル」が作れる特典も。お互いに、相手への記念酒ボトルを作り合うことに。

記念酒ボトルの完成。普段は気恥ずかしくて言えない感謝の気持ちを、送り合いました。夜、旅館の部屋で乾杯しようと約束。

次に訪れたのは、日本最初の西洋美術館として知られる「大原美術館」。倉敷で繊維事業を成功させ、資産家として知られる大原孫三郎が、自身がパトロンとなり支援した画家・児島虎次郎に収集させた著名画家の名作が多く展示されます。

エドモン=フランソワ・アマン=ジャンの 「髪」は、大原美術館の記念すべき収集作品・第一号です。画家を直接訪ねていく情熱的な交渉術で、虎次郎は現代日本にあることが奇跡といわれるような名作を多く収集したのだそう。

エル・グレコの「受胎告知」は、大原美術館の中でも最も「日本にあることが奇跡」とされる名作。海外からの企画展ではなく、常設でこれほどの名作を拝めるのは倉敷の魅力でもあります。美しく重厚感ある芸術に触れ、日々の疲れが消えて行きます。

大原美術館を後に、町並み散策をしていると、緑に囲まれた一角「新渓園」を発見。大原家が所有していた客人をもてなす別荘の中庭だそうで、今は観光客も自由に出入りできます。秋は紅葉が美しく、色付き始めた木々に癒されます。

中庭を流れる小川の橋の上に二人で座りこみ、鯉に餌をあげるふりをしたり、懐かしい思い出話に花を咲かせたり。二人の間に流れる時間は、普段とはまるで違っていました。

新渓園を後に散策を続けていると、人だかりのあるジェラート屋さんを発見。「Gelateria(ジェラテリア) 一休」は、毎朝店内の工房で製造した出来たてのジェラートが楽しめる人気店。通り過ぎようとする妻に、夫が立ち止まり、「何味がいい?」とお店の中へ。二人で好きな味を一つずつ注文して、おいしくいただきました。

夕方、この日宿泊する「旅館 御園」に到着。明治時代、料亭から創業したという歴史ある佇まいに、緑豊かな小さな中庭が上品な老舗旅館です。

チェックインを済ませ、中庭の見える部屋の窓辺で一息ついていると、「どっちの柄がいい?」と夫が二枚の手紙を取り出します。それは、一年後に指定の住所宛に手紙が届くという、倉敷の“倉敷記念日レター”だそう。「旅の思い出と、一年後の記念日に、お互いに書いてみないか」と夫。

気恥ずかしくも手紙を受け取り、部屋の隅で手紙を書き始める妻。普段とは違う夫の大胆な行動に戸惑いつつ、それでも、面と向かっては言えない感謝の想いを、倉敷記念日レターにつづっていきます。何を書いたかは、お互い一年後の楽しみに。

夕食時、部屋に運ばれたのは、贅沢な鯛の姿煮がそうめんに乗った「鯛めん」。瀬戸内海地方の伝統的なお祝い料理だそうで、結婚記念日を豪華に演出してくれます。岡山名物の“黄ニラ”も散らされており、倉敷ならではのおもてなし料理です。

食事の前に、昼間つくった“記念酒ボトル”で乾杯。ボトルを取ろうとした妻の手を遮り、今夜は夫が妻の盃にお酒を注ぎます。夫の労いの心を受けて、妻の日頃の苦労も水に流されるようでした。

お腹も満たされ、ほろ酔い気分のまま、「一緒に見に行きたい場所がある」と夫に連れられ訪れたのは、「旧鷲羽山スカイライン」の眩い夜景。一面に広がる水島コンビナートの工業夜景は、時間を忘れて見入ってしまう美しさ。そのロマンチックな光景に、二人の中の初々しい気持ちが蘇ります。

翌朝、倉敷が江戸幕府の天領に定められた古き時代の面影が残る、美観地区をぶらり散策することに。まず最初に、倉敷のシンボルでもある「くらしき川舟流し」を体験。

天領の時代は物資を積んだ舟で賑わっていたという、柳並木の美しい川を進んでいきます。ゆるやかな時間の流れの中で、いつも無口な夫が冗談を言ったりと、和やかな空気が二人を包みます。

人通りの少ない小さな裏路地に入っても、古い白壁と瓦屋根が続く、情緒あふれる美観地区。行き先を決めずにぶらり歩く、旅ならではの自由な時間を満喫。

散策中、立ち寄った観光案内所「倉敷館」内で、“記念日ポスト”を発見。昨晩二人でつづった倉敷記念日レターを一緒に投函。妻の照れ顔に夫は満足げ。

次に訪れた「オルゴールミュゼ・メタセコイア」では、アンティークオルゴールを中心とした“オルゴールコンサート”が楽しめます。1つ1つのオルゴールに纏わる歴史の紹介の後、美しい音色が披露される癒やしの30分間です。

こちらは150年前のオルゴールで、館内でも最も古いオルゴールだそう。共鳴箱と呼ばれる大きい箱の上に乗せると、単体のときよりも音が大きく、音質も綺麗に聞こえます。スピーカーが無い時代、人々はこうしてオルゴールの音色を楽しんだのだそう。

こちらは“オートマタ”と呼ばれる機械人形で、オルゴールの音色と共に人形が動くからくりになっています。題名は「煙草を吸う黒人」。本物の煙草に火をつけて人形の手に持たせると、吸った煙が口から吐き出される精巧な作りになっています。懐かしく儚いオルゴールの音色に、すっかり魅了された30分間でした。

昼食に訪れたのは、旬の“地もの”をこだわりの調理法で提供する「割烹 山部」。日本の四季の移ろいに合わせた、上品な和食が楽しめます。

ランチで人気の「点心 倉敷川」を注文。地元でとれた新鮮なお刺身を中心に、見た目にも鮮やかで品のある点心を個室で味わえます。デザートの盛り合わせも付いて2,100円と、高値過ぎない値段設定も人気の秘密。

「こうして一緒にランチをするの、いつぶりかしら」と嬉しそうな妻の言葉。落ち着いた個室で、ゆっくりと会席ランチを味わう至福の時を過ごしました。

この旅の最後に訪れたのは、可愛らしいショップ内の工房で、オリジナルキャンドルの手作り体験が出来る「ペガサスキャンドル」。

この日は通年で体験出来る、約20分程度の簡単なコースを選択。まずは色とりどりのロウのブロックの中から、好きな色を選んでいきます。

器の端にくっつける、または積んでいくようにして、色付のロウのブロックを配置します。直径が大きい器のため、ブロックを端に寄せた方が、灯火の光に色が付いて綺麗なのだそう。

最後に香りが付いた熱いロウを流し込めば、オリジナルキャンドルの完成。季節によって香りが変わるため、リピーターのお客さんも多いとのこと。倉敷の思い出が詰まった、ぬくもり溢れるお土産が出来上がりました。

一年後の結婚記念日の朝。自宅のポストに届いたのは、一年前に倉敷で書き合った「倉敷記念日レター」。朝の光に包まれたリビングで、お互いに嬉しさ半分、恥ずかしさ半分に手紙を開きます。

そこには、普段の相手からは想像もつかないような、感謝と、愛にあふれた言葉が。「また、一緒に倉敷に行こう」と言う夫に頷く妻の笑顔は、あたたかな喜びに満ちていました。いつもよりやさしく素直になれる、そんな倉敷で、大切な人との幸せなひと時を過ごしませんか。

今回訪れた場所
  【倉敷市児島】
十八盛酒造
住所:岡山県倉敷市児島田の口5丁目6番14号
    【倉敷市中央】
大原美術館
住所:岡山県倉敷市中央1-1-15
    【倉敷市中央】
新渓園
住所:岡山県倉敷市中央1-1-20
 
  【倉敷市老松町】
旅館 御園
住所:岡山県倉敷市老松町3丁目4-1
    【倉敷市】
旧鷲羽山スカイライン
住所:岡山県倉敷市
    【倉敷市中央】
くらしき川舟流し
住所:岡山県倉敷市中央1-4-8
 
  【倉敷市本町】
オルゴールミュゼ・メタセコイア
住所:岡山県倉敷市本町7-2
    【倉敷市鶴形】
割烹 山部
住所:岡山県倉敷市鶴形1-1-20
    【倉敷市本町】
ペガサスキャンドル
住所:岡山県倉敷市本町7-2