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宮崎では、県内各地で伝統の神事「神楽」が受け継がれています。それは、地元の人々が神への感謝を込めて舞い踊る大切な文化です。神社で毎晩神楽が奉納される、高千穂へ。博物館に貴重な資料が揃う、椎葉村へ。豊かな自然と観光を楽しみながら、宮崎の神楽に触れる旅に出てみませんか。
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高千穂に到着後、まず訪れたのは「まちなか案内所」。スタッフの方に高千穂の見どころを丁寧に教えていただきます。一角では勾玉(まがたま)作り体験を楽しんでいる人も。
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「高千穂峡」の遊歩道をのんびりと歩きます。この美しい渓谷は、阿蘇の火山活動によって生まれたそう。木々と清流に包まれた小径は歩きやすく快適。
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途中、古めかしい橋を渡ります。石の欄干はしっとりと苔むしていて、長い歴史を感じさせます。
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ハイライトは、真名井の滝。高千穂峡のシンボルです。滝の高さは約17メートル。貸しボートが運行している日は水面から滝を見上げることもできます。
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渓谷のそこかしこで、岩肌から染み出す清らかな水。触れるとヒンヤリ、気持ちいい。
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売店で見つけた日向夏ソフト。爽やかな味の日向夏は、宮崎特産の柑橘類。カラフルなあられがキュートです。
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お昼ごはんを食べに「野菜料理 田の花」へ。そこは山あいの集落に佇む一軒家レストラン。
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店に入ると、大きな窓が山里ののどかな風景を見事に切り取っていました。まるで一幅の絵のよう。
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いただいたのは、野菜のワンプレートランチ。どの野菜も丁寧に調理され、しみじみおいしい。素材の良さと職人技が見事に噛み合っています。
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お店はご夫婦で切り盛り。高千穂は昼夜の寒暖差がある土地なので野菜がおいしく育つそう。
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昼食後は再び高千穂の見どころを巡ります。長い石段の先は「くしふる神社」。ここは神様が初めて地上に降り立った天孫降臨の地と伝わります。木々が鬱蒼と繁り、厳かな雰囲気。
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次は一転して絶景スポット「国見ケ丘」へ。ぐるりパノラマの風景が広がるこの場所は、神様が国見をされたという伝説の地。雄大な阿蘇五岳も望めます。時には眼下に雲海が棚引くことも。
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夜は神楽を鑑賞するべく「高千穂神社」へ。まずは本殿でお祈りを捧げます。
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スタートは毎晩8時から。主要な演目から四番を抜粋して演じられます。本当は全部で三十三番あり、一晩かけて奉納されるのだとか。
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お囃子は笛がひとり、太鼓がふたり。息のあった音色が場内に響き渡ります。
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舞台の上には白い切り紙が飾られています。「えりもの」と呼ばれるこの飾りはひとつひとつの模様に意味があるそう。
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神楽が終盤を迎えると、仲の良い夫婦が登場してお酒を酌み交わします。イザナギの神とイザナミの神です。
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そのうち、お酒に酔ったのか舞台を降りて観客席へ。コミカルな舞が笑いを誘います。神楽を身近に感じるひととき。
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奉納を終えた演者のみなさん。地元では「ほしゃどん」と呼ばれます。一番長い人はほしゃどん歴50年と聞きびっくり。その技は若い人へと受け継がれていきます。
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翌日、出かけたのは「天岩戸神社」。日本神話ゆかりの高千穂でも、人気の高いスポットです。
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ご神体の天岩戸は西本宮の裏手に。受付で申し込み、お祓いを受ければ拝観することができます。
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天岩戸神社の先にある「天安河原」。川沿いにぽっかりと口を開けた巨大洞窟に、八百万の神が集まったと伝わります。その雰囲気は、まさに神秘的。
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笑顔が素敵な受付の巫女さんたち。かわいいお守りもたくさんありました。
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休憩したカフェで見つけた高千穂牛ドッグ。地元が誇るブランド牛を気軽にパクリ。
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立ち寄った「高千穂がまだせ市場」には郷土のおみやげがたくさん揃っていました。神楽で見かけた「えりもの」を発見。
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不思議な名前の「ちほまろ」は、地元産の乳酸菌飲料。高千穂で育ったお米を発酵させた新感覚のドリンクです。
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高千穂を離れて、椎葉村に到着。目的は「椎葉民俗芸能博物館」で神楽の展示を見学すること。
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展示室の壁には神楽で使うお面がずらり。同じ演目で使うお面でも、集落ごとに表情が違うことに気づきます。
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椎葉村では村内26地区で神楽が伝承されているとのこと。山深い土地柄のため、狩猟や焼畑耕作の影響が色濃く反映されているそう。高千穂とは異なる神楽がここにはあります。
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山肌に屋根を寄せ合うような椎葉村の集落。伝統文化が受け継がれるこの地では、11月になると神楽の音色が厳かに響き渡ります。