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奈良県中部に位置する桜井市。この地域には、日本最古の神社である大神神社など、興味をひかれる文化遺産が点在しています。
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本殿は設けず、拝殿の奥にある三ツ鳥居を通してご神体である三輪山を拝するという、原初の神祀りの姿を今に伝える大神神社。大自然を敬い、そして共に生きてきた、いにしえの日本人の心を感じずにはいられません。
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大神神社の祭神は、神話「因幡の白兎」で、ウサギを助けたことでも知られる大国主神(おおくにぬしのかみ)と同一神である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)。この神話に因んで、参集殿には「なで兎」と呼ばれるウサギの像が置かれています。撫でるように触ると運気が上昇し、撫でた部分の体の痛みもとれるのだそう。
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拝殿の前には、御祭神の化身である白蛇を祀った樹齢400年の杉の木があります。ここを参拝する人の多くが供えていくものが、お神酒と、蛇の好物である卵。「蛇が卵を丸呑みするように、願い事も丸呑みしてもらいたい」という願いから始まったユニークな慣わしです。
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創業を江戸初期の1660年に遡る、老舗の「今西酒造」。三輪山の伏流水と地元のお米で手作りしている日本酒の代表銘柄は「三諸杉(みむろすぎ)」。築170年の酒蔵見学や、各種銘柄の説明を聞きながら飲み比べる利き酒体験が人気を集めています。
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奈良時代に日本で初めてそうめん作りが始まった桜井市で、伝統の手延べ製法にこだわり続けるのが、「三輪そうめん山本」。三輪茶屋では、その老舗の味をいただくことができます。工程のすべてに人の手が携わり生まれたそうめんは、喉越しがよくコシがありながらも、繊細な食感。
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吉野山の中でもとくに眺めがいいのが、「花矢倉展望台」。標高約590mから、上千本、中千本、金峯山寺の蔵王堂付近までを見下ろすことができます。うっすらと雪化粧した冬景色は、まるで水墨画のような美しさです。
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「金峯山寺の蔵王堂」では毎日午前11時から、護摩供が修されています(行事日程の都合で時間を変更することもあり)。護摩供とは、火を焚いて中に供物を投げ入れ、ご本尊を供養するとともに、そのご加護を願う儀式。凛とした空気の中で、心が引き締まります。
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子宝の神様として古くから信仰されている「吉野水分神社」。創立年代は不詳ですが、平安時代にはすでに人々の信仰を集めていたといいます。現存の社殿は1604年に豊臣秀頼が再建したもの。本殿は三殿を一棟に連ねた美しく珍しい形式で、国の重要文化財にも指定されています。
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吉野山の中腹に位置する「竹林院群芳園」は、与謝野晶子をはじめとする多くの文人墨客に愛されてきた宿。冬は、宿の名物料理「利休鍋」も楽しみのひとつ。名産の吉野葛でとろみをつけたお出汁の中で、新鮮な野菜や鴨肉を煮込んで食べる逸品です。
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大和三庭園のひとつにも数えられる、「竹林院群芳園の庭園」。簡素ながらも風格漂う回遊式庭園は、四季折々の美しさを間近に感じることができます。
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本殿の手前にあるのは、「内拝殿」。内拝殿と外拝殿との間には、周囲を廻廊に囲まれた広い外院斎庭があります。毎年2月11日に行われる紀元祭には、全国から訪れた数千人の参列者で埋めつくされるのだそう。
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一の鳥居、橿の並木が続く玉砂利の参道、宮川にかかる神橋、二の鳥居・・・。神聖な領域を一歩一歩、本殿に近づいてゆくにつれ、だんだん心が落ち着いてくるのが分かります。凜とした杜の空気も気持ちがいい。
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内拝殿から連なる廻廊。釣燈籠にはあしらわれているのは、橿原神宮の御神紋とされる「実付き抱き橿」。
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橿原市今井町は、「海の堺」に対し「陸の今井」と称されるほど、商工業都市として栄えました。大きな火災に遭うこともなかったため、現在も街中には町家が残り、往時の面影を偲ばせています。歴史ある町並みをそぞろ歩けば、江戸時代にタイムスリップした気分。(写真提供 一般社団法人 橿原市観光協会)
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今井町の重要伝統的建造物群保存地区に構える町家造りの民宿、「嘉雲亭」。屋根瓦、漆喰の白壁に虫籠窓を設えた建物は、まるで映画のセットのよう。
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春日大社境内飛火野で、毎年冬に行なわれる奈良大和路キャンペーン「鹿寄せ」。ナチュラルホルンの音に誘われ、たくさんの鹿たちが集まってくる様子は、奈良でしか見られない特別な風景です。平成28年開催予定は、2月11日(木)~3月13日(日) の午前10時から約15分※毎週月曜日は休み。(写真提供 公益社団法人 奈良市観光協会)
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奈良公園と聞いて思い浮かべるものが、芝生をのんびり行き交う鹿たち。鹿と奈良公園の関係は、奈良時代にまで遡ります。春日大社が祀る武甕槌命(たけみかづちのみこと)が白鹿に乗ってやって来たという伝説から、ここでは鹿は神聖な動物とされ、保護されているのだそう。
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鹿たちが群れているのは、春日大社境内の飛火野。鹿せんべいを買って歩いていると、ねだるような目で鹿たちがついてきてくれました。人懐っこい鹿の姿に、心が和みます。
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「若草山焼き」は、標高342mの若草山に火をつけ、新芽の成長を促すために山全体を燃やす伝統行事。約600発もの打ち上げ花火の後、草地に一斉に火がつけられる光景に圧倒されます。平成28年は1月23日(土)に開催予定(延期の場合は24日に開催予定)。(写真提供 公益社団法人 奈良市観光協会)
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奈良を代表する三社寺(春日大社、興福寺、東大寺)を幻想的な光の回廊でつなぐ、「しあわせ回廊 なら瑠璃絵」。冷たい空気の中で心が温まる、冬の奈良のとっておきの風景です。平成28年は2月8日(月)~2月14日(日) に開催予定。
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『暗夜行路』『城の崎にて』などで知られる文豪、志賀直哉が暮らしていた旧居。数寄屋造りながら洋風のサンルームがある個性的なこの建物は、この地を愛し、家族を愛した直哉自らが設計したものなのだそう。名作が生まれた書斎はもちろんのこと、家族と過ごし客人を招いた食堂なども必見です。
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昔の子どもたちが親しんだ、手作りのからくりおもちゃに触れて遊べる、「奈良町からくりおもちゃ館」。昔懐かしいおもちゃはどれも、仕掛けが工夫されていて驚かされます。町家を利用した建物は畳敷きで、なんだか懐かしい気分。童心にかえって楽しめる施設です。
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失われつつある町家を保存し、訪れる人々が交流できるようにと生まれたのが、「奈良町にぎわいの家」。1917年築の建物の中に入ってまず驚かされるのは、外観からは想像がつかない、広さと風通しの良さ。季節ごとの自然を楽しみながら暮らした時代に思いを馳せながら、ゆったりとした時間を過ごしました。
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食事処、「はり新」の楽しみは、「かみつみち弁当」。店の前の道が、奈良時代の藤原京と平城京とを結ぶ道「上ッ道」の出発点だったことから、名付けたのだそう。五角形のお弁当箱には、旬の地の食材を使った料理や、日本の古代チーズと呼ばれる「蘇」が並んでいます。美しいお庭を眺めながら、ならまちらしいランチを。
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手作りキャンドル工房の「canata conata」に並ぶのは、奈良のシンボルである鹿型や古墳型など、他ではなかなか手に入らないユニークな形のキャンドル。この旅のお土産に選んだのは、「青丹よし寧楽色キャンドル」。朱色と青緑色の鹿型キャンドルは、火を灯すのが惜しいほどの可愛らしさです。