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白い潮風香る、清々しい海岸沿いの遊歩道。幻想的な霧の中に浮かび上がる、広大な湖。日本海が育んだ、極上のかに・ふぐ料理。そんな冬の若狭路の魅力に浸って、しっとりと心穏やかに過ごす旅へ。
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旅の最初に訪れたのは、美浜町の海辺に佇む地ビール工場「若狭シーサイドブルワリー」。製造工程が見学できるミニ・ミュージアムを併設し、タイミングが良ければ出来たての地ビールが試飲可能です。
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ミュージアムの中には、館長が飲み歩いたという日本全国の「地ビール瓶」の展示棚が。飾りきれていない瓶もまだ大量にあるのだそう。
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全国酒類コンクールで優勝した「ヴァイツェン」を含む3種類の「若狭ビール」は、社長自らカナダにビール製造を学びに行き生み出したという、どれも渾身の作品。工場裏に広がる海を眺めながら飲み干す若狭ビールは、まさに格別です。
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昼食に訪れたのは、木のぬくもりに溢れる「ログペンション 秋岡屋」。宿泊客でなくても食事利用が可能。
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店内には、暖色の光を灯すランプや、レトロな置物がたくさん。ほっと心が安らぎます。
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料理長が旬の地物野菜でつくる「若狭路ご膳」は、栄養たっぷりでやさしい味わい。冬は白菜や大根、里芋などを使ったメニューを考案中とのこと。
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次に訪れたのは、自然が作り出した不思議な洞穴“明鏡洞(めいきょうどう)”を見ることが出来る、高浜町の「城山公園」。穴の向こう側の水平線が鏡のように見えることがその名の由来だそう。城山公園周辺には、そんな明鏡洞を含む8つの自然洞穴があり、その幻想的な美しさが訪れる人々を魅了します。
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次に訪れたのは、特産品の販売所やフードコードを備えた道の駅「うみんぴあ大飯」。
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魅力は何といっても、その日にとれた新鮮な若狭の魚介たち。この日は、冬の時期が旬だという高級魚の“のどぐろ”などが並んでいました。
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福井県産の生乳を100%使用した人気のジェラートも。冬期販売予定だというワッフルセットを先出ししてもらい、若狭湾が一望出来る窓際の席で、ゆっくりとジェラートのまろやかな甘さに舌鼓。
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厨房では若いスタッフさんたちが、日々愛情を込めてジェラートを手づくりしています。彼女たちの笑顔だけでも一見の価値ありです。
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この日宿泊したのは、三方五湖(みかたごこ)の1つである“水月湖(すいげつこ)”を望む宿「若狭みかた きらら温泉 水月花」。
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夕食には、かにと若狭ふぐのフルコースを堪能。宿の水槽に生きたまま入れられた魚介を調理しているため、その新鮮さは格別です。
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心身ともにあたたまる、若狭ふぐの“ふぐちり鍋”。冬の若狭路ならではの贅沢な夜を過ごしました。
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翌朝は、目前に水月湖を見渡せる大浴場で、清々しい朝湯を堪能。夜は夜で、湖の水面に一筋の道のように月明かりが落ち、また別の美しさがあります。
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宿を後に、この日最初に訪れたのは、小浜市にある「御食国若狭おばま食文化館」。若狭おばまの食にまつわる歴史・文化を展示したミュージアムの他、体験工房や温浴施設などを併設しています。
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若狭おばまは“鯖”の名産地です。“浜焼き鯖”と呼ばれる鯖を丸焼きにした珍しい料理から、オーソドックスな味噌煮やお寿司まで、地元の人は様々な鯖料理を食べるのだそう。ミュージアムでは、それらを網羅した鯖料理30種類のレプリカなどユニークな展示が楽しめます。
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御食国若狭おばま食文化館の2階にある「若狭工房」では、若狭おばまの食文化を支えてきた伝統工芸体験が可能。
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この日は、若狭塗の“箸の研ぎ出し”を体験しました。若狭塗は、貝殻や卵殻の上に複数色の漆を塗り重ね、それを研ぎ出すことで模様を作り出すという独特の技法。やすりで突起部分を何往復も擦ることで、次第に模様が浮かび上がって来ます。
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若狭塗の匠による細やかな指導のお陰もあり、無事に箸の研ぎ出しが完成。予想以上に研ぎ出しには力が必要で、箸2本分の作業でも手に疲労感が。その分、完成品の美しさには感動。
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次に、旅の土産を買いに訪れたのは、美浜町にある道の駅ならぬ「五湖の駅」。
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若狭の土産といえば「へしこ」。主に鯖などの魚を糠漬けにして半年以上熟成させたもので、一匹丸ごと漬け込まれた豪快な商品も。
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併設された食事処で、昼食に「へしこ茶漬け」をいただきました。濃い塩気と旨みが凝縮されたへしこは、ご飯との相性抜群。お酒のつまみにも最高だそう。
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五湖の駅には土日限定の足湯もあり、天然の「美浜温泉」の湯が楽しめます。お茶漬けに温泉に、身体の芯からあたたまる冬に立ち寄りたいスポットです。
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五湖の駅を後にし、三方五湖を眼下に望む有料道路「三方五湖レインボーライン」をドライブ。リフトまたはケーブルカーに乗って、山頂公園を目指します。
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山頂公園に到着すると、三方五湖・海・空が織りなす360度の絶景がお出迎え。眼下に広がる、少し霧がかった若狭路の雄大な自然はどこか神秘的です。
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山頂公園は恋人たちの聖地としても知られ、写真の野外彫刻「空間のメビィウス」には、無限に続くメビィウスの輪のごとく、2人の愛が続くようにというメッセージが込められているそう。
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この旅最後に訪れたのは、敦賀市にある海浜公園「金ヶ崎緑地(かねがさきりょくち)」。遊歩道から、ちょうど敦賀港に沈む夕日を眺めることが出来ました。
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更に暗くなると歩道沿いの照明に明かりが灯り、光のアーチが現れてロマンチックな雰囲気に。水平線の向こうから潮風が運んでくる冬の匂いを感じながら、静かで心安らぐ若狭路を、また訪れたいと思いました。