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楽天トラベルトップ > FINDING JAPAN & ME ココロが動く、を探しに行こう > #44 陶器がつなぐ今と昔。 人々が紡ぐ手仕事のぬくもりに触れる旅

FINDING JAPAN & ME  ココロが動く、を探しに行こう

陶磁器の生産地として名高い岐阜県東濃地域。
職人が丹精こめて作った陶器に手を触れれば、
焼き物に込められた思いやこだわりを感じることができます。
伝統の技と自然の美が息づく街へ春を探す旅へ。

photo by Kazue Sato realization & text by Junko Ogino

#44 陶器がつなぐ今と昔。 人々が紡ぐ手仕事のぬくもりに触れる旅

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陶磁器の生産地として名高い岐阜県東濃地域。美濃窯の炎は1300年もの間生き続けています。 職人が丹精こめて作った陶器に触れれば、焼き物に込められた思いやこだわりを感じることができ、 手仕事のぬくもりに触れることができます。そんな伝統の技と自然の美が息づく街へ春を探す旅へ。

東京から約2時間半。陶器の街、多治見に到着しました。駅内にある観光案内所でレンタサイクルを借りて早速市内巡りに出発。電動アシスト付の自転車を借りれば多少の坂道も軽々登っていけます。

全国シェア50%を誇る美濃焼の産地として有名な多治見市にはたくさんの窯元があります。そんな多治見市で最初に訪れたのは多治見の街を見渡せる高台に位置する自然豊かな窯元、「虎渓窯」さん。

虎渓窯では和の趣きあふれるロクロ場で作陶体験をすることができます。窯元の若尾氏から「初心者大歓迎ですよ」とやさしく教えていただきながらロクロ回しに初めて挑戦。自分の手にぴったり合うタンブラーを作ってみました。

やわらかい土に触れる手の感覚と、ちょっとの力加減で形を変えていく陶芸の魅力に魅了されていきます。形を整えたら、たくさんの種類の中から好きな色付けを選び焼き上げてもらい、窯の中へ。出来上がりは自宅へ配送してくれます。自分で作った器にはとても愛着がわき、物を大切にする心まで学べた気がします。

敷地内に併設されている古民家を移設して作られた陳列館では、志野、織部、黄瀬戸などの多彩な美濃焼の器を購入することが可能です。

虎渓窯をあとにして土岐川沿いを次の目的地へ向けてサイクリング。暖かい日差しの中、風を切って爽快に自転車をこいでいると近づく春の足音を感じました。

到着したのは、かつての陶磁器問屋街の面影を残す「本町オリベストリート」。当時の蔵や古い商家を美濃焼ショップやギャラリーに改装したお店が並び、レトロとモダンが混在する通りになっています。

訪れたのは築100年にもなるという商家屋を生かした「織部うつわ邸」さん。2階のお座敷では地元の有名作家の器が並び、美濃焼の奥深さを知ることができます。

店内にある茶室では和風庭園が美しい中庭を眺めながら抹茶を楽しむことも。かわいらしい器でいただくお茶は、ほっとくつろぐひとときに。

ショップにはカジュアル使いできる陶器や和雑貨もたくさん並び、伝統からトレンドまで美濃焼ショッピングが楽しめます。お気に入りの器をそろえれば料理がもっと楽しくなるかも、とお土産にお皿を購入しました。

お昼ご飯は古い民家をそのまま利用したうどん屋さん「手打うどん 郁兵衛」さんへ。軒先にたくさん陶器が並んでいるのを見るとやはりここは“陶器の街”なのだ、と感じさせられます。

以前は陶器の卸商をされていたというご主人。うどんの魅力に目覚めてうどん屋を開業してしまった、という経歴の持ち主。そんなご主人の作る手打ちうどんはコシが強く、エッジがたっているとうどん通からも人気なのだそう。

中部地方で主に食べられている“香露(ころ)うどん”。かつおだしの香るつゆをかけていただくおうどんは、ご主人のうどんへの愛情とこだわりがたっぷり詰まっていました。お料理が盛られている器もこだわっているそうで、本当にどれも素敵でした。

最初はご主人のうどん屋開業に猛反対されたという奥様も今ではお店をすっかり楽しんでいらっしゃるそう。

次に訪れたのは、生産量日本一である市之倉の盃(さかづき)をテーマにした美術館、「市之倉さかづき美術館」。江戸時代末期から現代までの作品展示や、酒にまつわる工芸品など、盃の独特な魅力を感じることができます。

蛍の絵があしらわれた盃。お尻の部分が薄くなっていて光っているように見える、という美しい逸品。髪の毛よりも細い線で絵付けをされた盃など、昔の陶工たちの繊細優美な技から生まれる、盃という小さな世界の魅力を発見しました。

こちらは盃の底に女性が透けて見えるという、ユーモアのある昭和初期のもの。当時の人々の楽しい酒場の様子が想像されます。

併設のミュージアムショップでは、現代陶芸作家の陶芸品や地酒などを買うことも。伝統の織部の技を使いつつも現代的なデザインのコーヒーカップは、ほっこりとした気持ちにさせてくれます。

この日の宿泊は「恵那峡グランドホテル」さん。恵那峡を一望できる自慢の天然温泉露天風呂は、山の中にあるのに塩分を含んでいて、お湯につかると肌が少しぴりぴりしました。海水とほぼ同じ塩分濃度で、保温性に優れており、真冬でも体の芯からポカポカ温まり湯冷めしないのだとか。

晴れた日にはすばらしい渓谷美が楽しめます。約80年前に木曽川をせき止めて作られた大井ダムによってできた人造湖である恵那峡。桜の季節(4月中旬)になると恵那峡周辺は一面桜景色に包まれ、散策を楽しませてくれます。

翌朝、雄大な渓谷美を堪能できるジェット船に乗船しました。

ジェット船の大きな窓からは立ち並ぶ奇岩・怪石のパノラマビューや、悠々と水面を泳ぐカモやオシドリなどの姿も楽しめました。

ジェット船の船長さん。野鳥を見つけるたびに速度を落として教えてくださいました。

恵那峡から程近い中山道 大井宿へ。江戸時代における五街道の一つである中山道は、江戸と京都を結ぶ重要な街道として栄えていたそうで、今も当時の面影を色濃く残す建物が多く残っています。

次に向かったのは「木曽路」とも呼ばれる中山道の宿場町「馬籠宿」。約600メートルの急峻地形にある宿場町は全国的にも珍しいのだそう。立ち並ぶ土産物店など趣のある建物を眺めながら石畳の坂道を登っていきます。

坂を登りきった場所にある蕎麦屋さん「恵盛庵」さん。ご夫婦お二人で切り盛りされているお店はあたたかい雰囲気に包まれていました。こだわりのそば粉を店内にある石臼で挽いた手打ち蕎麦をいただきます。

太さが1本1本違うお蕎麦は手打ちならでは。「太いほうがそばの味がよくわかっていいでしょ。」とご主人が微笑んでくれました。

こちらは「カフェ穣」さんでいただけるフルーツパフェ。もともとは裏メニューとして出していたものがたまたま取材にきた「NYタイムズ」の記者によって紹介され一躍有名になったのだそう。注文を受けてから季節の果物を切って作ってくださるパフェは、たくさんのフルーツがきれいに盛られ芸術的です。

木に手書きでかかれたメニュー。この場所でお店を始めて38年。手抜きはせず、昔から変わらぬつくり方と値段をずっと続けているそう。店の奥はオープンテラスになっていて、晴れた日には恵那山を望みながらお茶をすることも。

「お店に立ってお客さんと接していたほうが元気でいられる」と明るく微笑む店主との会話も楽しく、落ち着いた店内でゆっくりとした時間が流れていました。

今回訪れた場所
  【多治見市】
虎渓窯
住所:岐阜県多治見市住吉町2-29
    【多治見市】
織部うつわ邸
住所:岐阜県多治見市小路町3-2
    【土岐市】
手打うどん 郁兵衛
住所:岐阜県土岐市下石町330-2
 
 
  【多治見市】
市之倉さかづき美術館
住所:岐阜県多治見市市之倉町6-30-1
    【恵那市】
恵那峡グランドホテル
住所:岐阜県恵那市大井町2709-77
    【恵那市】
恵那峡遊覧船
住所:岐阜県恵那市大井町奥戸
 
  【中津川市】
カフェ穣
住所:岐阜県中津川市馬籠4317-3
    【中津川市】
手打ちそば 恵盛庵
住所:岐阜県中津川市馬籠5438-1